Vol.7【「日雇派遣と派遣制度」のゆくえ】

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  川相いい仕事マガジン vol.7
   発 行:川相商事株式会社
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   「日雇派遣と派遣制度」のゆくえ
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あの暑い8月30日の政権選択の総選挙から、早くも本格的な冬が到来しました。

民主党政権が樹立され3ヵ月あまりが経過し、自民党と激しく争った中で
同党が声高に叫んだ官僚政治の改革、その評価は分かれそうですが、
その支持率を見る限りでは、一定の評価は得ているように思えます。

その他民主党が声を大にした主張の一つに派遣法の改正があります。
なかでも日雇い派遣の禁止は譲れないとの姿勢を示しています。

しかし、年末に向け、失業率が6%になるかとも言われ、
日雇派遣の禁止により、うん十万人の失業者が生まれるとも言われています。

今回は、この日雇派遣と同制度の今後の推移について考えてみます。

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┃どのように変わるのか?-法案の検討
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民主党が政権与党となる直前に出した民主・社民・国民新党3党合意案が、
ベースとなることは間違いないと思われます。

2009年6月に衆議院へ提出された法案は以下の通りとなります。
少々、むずかしい内容となりますが要点については、後述で解説致しますので、
大まかなイメージだけとらえて頂ければ結構かと思います。

1)法案の名称に「派遣労働者の保護」を盛り込む。

2)法案では、日雇い派遣を禁止。
   派遣労働者の雇用契約については、雇用契約期間が2カ月以下の労働者派遣を禁止。
   (2カ月以下の雇用契約期間の場合、2カ月に1日を加えた雇用契約期間とみなす。)

3)直接雇用みなし規定を創設。
   みなし規定は、派遣先が
   (1)禁止業務で派遣を受け入れた、
   (2)無許可・無届と知りながら派遣を受け入れた、
   (3)期間制限を超えて派遣を受け入れた、などの違法行為を行った場合、適用する。

4)労働者を派遣し、または派遣の役務の提供を受ける場合は、
   就業の実態に応じ均等な待遇の確保を図るものとすること。

5)「派遣元から派遣労働者、派遣元から派遣先に対する通知義務事項を拡大」

6)「労働者派遣の受け入れにあたり、派遣先から派遣先労働組合へ通知義務」

7)「いわゆるマージン率を含め事業運営の情報等についてHP等への公開の派遣元への義務づけ」

8)「派遣先での不利益取り扱い禁止」

9)「未払い賃金や社会保険未払いの派遣先の連帯責任」

10)「派遣先への安全衛生教育の義務付け」「派遣先による定期健康診断の代行実施」

11)「派遣労働者の個人情報保護」

12)「派遣労働者所属労働組合と派遣先との団体交渉応諾義務」

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┃リスクの考察
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(9)(10)は、本来、派遣元企業に責任のあるものですが、
現実には、コンプライアンスの意識の薄い事業者も多く見られました。

未払い賃金や社会保険の未加入の派遣事業者も現実には多数存在します。
その責任を派遣先にも求められる事になります。

労働者が、その責任を追及する場合には、「取りやすい方からとる」という姿勢で、
派遣先に強く責任の履行を求めるケースも増えることが考えられます。

さらに(12)では、発注先・派遣先企業が、派遣労働者が所属する労組と
団交をせねばならないと規定しています。

実際には、労組に派遣社員が問題を持ち込んだ場合には、
労組は派遣先へ要求を出していくと思われます。

理由は、先述の通り、規模の小さい派遣事業者よりも派遣先企業に対し、
その責任を追及した方が、補償が得られやすいからです。

これまで、派遣社員を使用することのメリットのひとつに、労務リスクを分割し、
派遣会社へ転嫁することがありました。
この法案は、このリスクの転嫁を禁止する法案だと言えます。

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┃今後の取り組み
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今後は、派遣社員を使用する場合には、派遣会社のコンプライアンスへの
姿勢を把握することが必要になってくると思われます。
さらには、社会保険の加入状況や賃金の支払い状況の確認を行うことも考えられます。

また、その派遣社員の派遣元担当者の法知識のレベルをチェックすることが重要だと思われます。
派遣社員と担当者のやり取りが、問題を大きくするか、
小さなうちに解決するかの分かれ目になると思われます。

私自身の主観のレベルですが、先述の野党案のすべてを法制化することは、
現実的ではないと考えます。

しかし、確実なのは、派遣会社だけが規制をうけるのではなく、
派遣先が積極にコンプライアンスに関わることが求められるだろうことです。

今後は、派遣先と派遣元が同じテーブルについて、
コンプライアンスについて考えていくことが必要になっていくのではないでしょうか?

 

   労務管理事務所 フォージョウハーフ
   人事労務コンサルタント 日比野 大輔  Hibino Daisuke
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  【代表者】日比野大輔
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