Vol.69【競業避止義務について】

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  川相いい仕事マガジン vol.69
   発 行:川相商事株式会社
   Kawai Syouji Group
   『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 http://www.e4510.jp/
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【知って得する雑学クイズ!】の答えは一番下↓↓

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 「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
 労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
 社労士、日比野の現場紹介—☆★☆
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    競業避止義務について
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こんにちは社労士の日比野です。
今回は、競業避止について考えてみたいと思います。

近年、競業避止にまつわるトラブルが増えているように思います。
社員が退職にあたってライバル会社に就職した、または、
ライバル会社を起業した、そんなことにまつわるトラブルです。

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┃介護事業の競業就職は死活問題
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よく問題となる業種は介護、美容室及びエステシャンなど、顧客が商品ではなく、
社員に紐付いているような業種だ。

例えば、介護事業所に勤めるケアマネージャーが退職するにあたって、
会社からすぐ近くのライバル事業所へ就職し、退職以前から利用者にその旨を
告げて、ライバル社へお客様を引っ張っていくようなケースだ。

介護の事業所では、利用者はケアマネージャーにつく。
人気のあるケアマネージャーを抱える事業所はよく儲かる。

小規模な事業所で、人気ケアマネージャーが利用者に宣伝し、
近隣のライバル事業所へ就職したら、それこそ会社は死活問題であり、
売り上げが半分になることさえある。

当然、経営者は憤って、何とかしてくれと電話がかかってくる。

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┃賠償金なき賠償責任
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法的な側面から考えてみる。

ケアマネージャーが業務に従事することにより知り得た情報を使って、
自己の利益のために事業を行った場合、不正競争防止法や個人情報保護法に
抵触する可能性がある。

しかし、そのケアマネージャーが「実は今度退職するんです」と言ったことにより、
利用者の方から、次の就職先を聞いてきて、ライバル社へ行ったのであれば、
法律上、問題があるとは言い難い。

またフェイスブックなどを利用者と使っており、そこで次の就職先を
告知したりした場合にも問題があるとは言い難い。

実際に法に基づき争ったらどうなるかといえば、極端に表現すれば、
利用者を連れて行ったケアマネージャーが悪いから、損害賠償として
1万円を会社に払いなさい。そんな結末になる。

会社は、ケアマネージャーが就職すること、また起業すること、
利用者を連れて行くことを阻止したいのだけれど、それは叶うことはなく、
ケアマネージャーの職業選択の自由が優遇される。

結論から言えば、法では経営者が望む解決はできない。

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┃暖簾分け
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江戸時代、暖簾分けという制度があった。ここでは先述の話とは少し毛色が違う。
そこでは揉め事は起こらない。暖簾とは社会(顧客)の幸せを目的とする
理念やお客様との間に築かれた信頼関係を象徴する。

暖簾を出す事業者の事業目的は、社会に幸せを広げることである。
その目的の下では、事業者にとって、誰かがよその土地へ行き、
暖簾の名前を使ってその土地の顧客を幸せにするのは、喜びであったのだ。

その際、暖簾代がかかるかどうかは、本店から何らかの支援があれば、
お代はいるだろうが、それがあまりなければお代はかからない。

介護事業も美容室も、自分たちが儲けることを目的とすれば、
そこには自分が技術を上げ、稼ぐことのみを考えて働く人が増えても
それは自然なことのように思う。

競業避止の問題、それは法ではなく、理念の問題かもしれない。
理念によって形成された組織を道徳共働態といい、日本型の組織と言われる。

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  労務管理事務所 フォージョウハーフ
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  労務管理事務所フォージョウハーフ
  【社会保険労務士】日比野大輔
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  【電 話】06-6945-5550
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【知って得する雑学クイズ!】の答え

2014年、世界で最も新車販売台数が多かった国・地域は、
以下の内どれでしょう?

(1)米国
(2)欧州
(3)中国

正解は、(3)の中国です。

それぞれの販売台数は、
中国:約2,349万台
米国:約1,652万台
欧州:約1,255万台
となっております。

中国は、2009年に米国を抜き、新車販売台数世界一となりました。
その年の、販売台数が1,364万台ですので、それから大きく販売台数
を伸ばしました。

そして、2009年から6年連続で世界トップを保持しています。
2009年の中国のGDPは日本に僅かに及ばず、世界第3位となっていましたが、
翌年日本を抜き世界第2位の経済大国となりました。

2009年時点の中国、日本のそれぞれのGDPはほぼ同じ程度でしたが、
昨年の2014年では、中国は日本の2倍以上のGDPへと成長しました。
中国の経済成長、おそるべしですね。

とはいえ、中国の総人口は日本の10倍程度はありますので、
国民1人あたりのGDPは、日本が中国の5倍近くあります。

そう考えると、まだまだ日本の方がお金持ちの国と
言えるのかも知れません。

それでも、日本に旅行で来られている中国人の方たちを見ていると、
高額商品を大量に買う様子も見られますし、富裕層に限って言えば
世界トップクラスの購買力を持った国と言えるのかも知れません。