Vol.47【パワハラに関するポイント】

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  川相いい仕事マガジン vol.47
   発 行:川相商事株式会社
   Kawai Syouji Group
   『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 http://www.e4510.jp/
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【知って得する雑学クイズ!】の答えは一番下↓↓

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  「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
  労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
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    パワハラに関するポイント
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最近、学校教育やスポーツ界での体罰やいじめがマスコミで取り沙汰されて
いますが、今回は職場での「パワハラ」について、考えてみましょう。

パワーハラスメント(Power harassment)という言葉は、実は2002年ごろに
作られた和製英語なのですが、「権力や地位を利用した嫌がらせ・いじめ」
というような意味で使われています。

昨年の厚生労働省の調査によると、過去3年間にパワハラに関する相談を
受けたことがある企業は全体の45.2%で、実際にパワハラに該当する事案が
あったのは全体の32%に上ったそうです。

労働局に寄せられるパワハラに関する相談件数は、ここ数年で急増しています。

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┃パワハラって法律違反?
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パワハラについては、現在のところ、直接規制している法律はありません。

セクハラが男女雇用機会均等法によって規制され、意識の浸透が行われた
ことから、職場のパワハラについても法律による規制が必要だという意見も
あります。

では、パワハラは法律違反にならないのかというと、そうではありません。
パワハラに対する法的責任は、以下のようになります。

(1)加害者(上司など)の責任

①民事責任として、不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条、710条)
が発生します(慰謝料など)。

②刑事責任が発生する場合もあります(傷害罪(刑法204条)、暴行罪
(同208条)、名誉毀損罪(同230条)、侮辱罪(同231条)など)。
(2)会社の責任

①使用者である会社は、使用者責任(民法715条)を負うことになります。

②会社には、安全配慮義務や職場環境配慮義務がありますので、これらの
義務を怠ったとして債務不履行責任(民法415条)を問われることもあります。

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┃パワハラを認めた裁判例
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パワハラを認めた裁判例は、セクハラに比べるとそんなに多くありませんが、
東京地裁八王子支部平成2年2月1日判決や名古屋地裁平成16年7月30日判決
などでは、パワハラを民法上の不法行為と認定して、慰謝料請求を認めてい
ます。

最近では、飲酒強要をパワハラ(不法行為)と認定し、会社と元上司に対して
150万円の支払いを命じた判決が出ています(東京高裁平成25年2月27日)。

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┃どんなことがパワハラになるのか?
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具体的なパワハラ行為については、厚生労働省は以下の6つに分類しています。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制)
(5)過小な要求(能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや
   仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)。

事業主への留意点としては、

予防するために
(1)トップのメッセージ
(2)ルールを決める 
(3)実態を把握する 
(4)教育する 
(5)周知する

また、実際にパワハラが起こった場合に、解決するためには
(1)相談や解決の場を設置する
(2)再発を防止する

を挙げており、早期に取り組むよう求めています。

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┃パワハラをなくすために
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職場で行われる「パワハラ」については、業務上の指導との線引きが難しい
面があることは確かです。

ただ、パワハラをしている側の上司や先輩は、自分が発する言葉や行為の
重みをそれほど深刻に捉えておらず、あくまでも「指導の範囲」だと思い込
んでいる場合が多く、部下がそれに耐えるよう暗黙のうちに要求している
ケースも見受けられます。

しかし、これでは、職場の生産性の低下や人材の流出、パワハラによる「うつ」
の発生や自殺といったリスク・損失を招く結果になってしまします。
では、どうすればいいのか?

職場での教育・指導で「力(パワー)」に頼ってしまうというのは、手っ取り
早く指導したい・自分の思い通りにしたいという誘惑(私心)に基づいている
と言えます。

親が自分の子供の幸せを考えて、親身の指導をするように、後輩や部下の
幸せを考えた上での愛情ある指導であるなら、たとえ本気で叱ることがあっても、
後輩や部下は愛情を感じ取って、真摯に受け止めるでしょう。

部下や後輩を叱るとき、自分の私心(利己心)から出た言葉や行動か、それとも
相手の幸せを思いやる良心に基づくものか、自分の心に手を当てて問うてみる
必要がありそうです。

以上、今回は、「パワハラ」について考えてみましたが、どのようにすれば
法的な責任が生じないかという対策も必要ですが、むしろ人間本来の
思いやりの心(良心)を組織的に発揮できる職場づくりを考えたほうが
いいのかもしれませんね。

 

   労務管理事務所 フォージョウハーフ
   人事労務コンサルタント 日比野 大輔  Hibino Daisuke
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 「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
  労務管理事務所フォージョウハーフ
  【代表者】日比野大輔
  【URL】http://www.4jh.jp/
  【電 話】06-6945-5550
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【知って得する雑学クイズ!】の答え

先日、自動車メーカーのホンダが、F1へ復帰すると言う
ニュースが流れました。さてホンダが過去にチームとして
F1で優勝した回数で正しいのは次のうちどれ?

(1)3回
(2)4回
(3)72回

正解は、(1)の3回です。
そんなに少なくないのでは?
と思われる方も多いと思います。

実は、ホンダはエンジンサプライヤーとして参加し、
優勝した回数は72回です。
※エンジンサプライヤーとはエンジンのみを
  チームに供給するメーカー

30代後半以上の人は、かつてのF1ブームを覚えて
おられると思います。

80~90年代のホンダはエンジンサプライヤーと
しては最強のメーカーでした。

アランプロストやアイルトンセナの活躍を
覚えている方も多いでしょう。

ですが、純粋なホンダチームとしての参戦では、
優勝回数は3回のみになります。

ちなみに(2)の4回は、無限ホンダのエンジンサプライヤーと
しての優勝回数です。

ホンダの優勝回数3回は物足りない数字に見えますが、
トヨタは出場回数140回で一度も優勝がありません。

ホンダは99回の出場で3回の優勝です。
トヨタはエンジンサプライヤーとしても優勝はゼロです。