Vol.2【偽装請負と適正請負の境界線は?】

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  川相いい仕事マガジン vol.2
   発 行:川相商事株式会社
   Kawai Syouji Group
   『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 http://www.e4510.jp/
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  労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
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    「偽装と適正の境界線?」
   ~現場の適正な協力関係構築のために~
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元来、日本の製造業の現場は、発注業者と請負業者が一緒になって作ってきました。

2004年以降、製造現場への派遣社員の派遣が法律上、可能となり、
製造現場の派遣社員が増えていきました。

そして、請負業者が労働者派遣業の許認可を取らないといけないという風潮となり、
許認可を取ることなく、業務を請け負っていると偽装請負と呼ばれ、
行政摘発を含めた多くの紛争を引き起こしました。

(行き過ぎた法違反の指摘があったように感じます)

しかし、2008年から2009年に入り、厚生労働省の方針は、
製造現場は、「発注会社の直接雇用する社員、適正な請負社員で構成しなさい」
というものに推移してきています。

ここでは厚生労働省通達を参考に、
請負問題における適正と違法との境界線を考えてみます。

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┃使用者・労働者・偽装請負の基本的理解
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そもそも偽装請負とは何が問題なのでしょうか?

労働基準法上、使用者は、法律上の義務(使用者責任)を履行することにより、
労働者を指揮命令下に置き、賃金を支払って、労働者を使用することが出来ます。

労基法は、労働者保護の観点から、使用者の責任と義務を定めています。
要は、この法律は、何か問題があった場合の責任の所在をハッキリとさせておきたいのです。

請負の現場においては、請負会社の労働者の使用者は請負会社のみです。
(法律上、使用者は一つであり、派遣契約・出向契約において、一つではなくなる)

ですから、指揮命令できるのは、使用者である請負会社の社員のみになります。

そうであるのに、発注会社の社員が請負社員を指揮・命令した場合には、
請負社員と発注会社の間にも、使用者・労働者の関係が成立しており、それに基づいて、
発注会社は使用者としての責任を追わねばならないとなります。

それであるのに、発注会社が使用者として責任を負わないのは、問題だというのです。
これが偽装請負の問題です。

ですから、偽装請負の問題を考える際、発注会社と請負社員との間に
労使関係が存在するのか否かがポイントとなってくるわけです。

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┃発注会社の社員と請負社員が同じ制服を着ているとまずい?
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発注会社のラインで働く社員は、発注会社・請負を問わず、
所定の制服・帽子・名札等の着用していることがあります。

昨年まで、この事実をもって、請負社員は、実質的には発注会社の社員であるとして、
よく行政への申告があったようです。
 
実務上は、制服が同じだからといって、即、請負社員が発注会社の社員・偽装請負とは
みなされるわけではありません。

ただし、行政介入があった場合には、制服が同じなのかは何故かという理由は聞かれます。
違う会社の社員が、同じ制服を着ているのは不自然で、発注会社が、都合良く、
請負社員を自社社員のように、扱っているのではないかと疑われるからです。

ですから、発注会社が、一方的に何の理由を示さず、指定の制服を着用させるのは問題です。

では、どのような理由があれば、同じ制服でも認められるのでしょうか?
一番、多い理由で、かつ、合理的あると考えられるのは、セキュリティの問題だと言えます。

情報保護が、非常に重要な時代において、外部からの侵入者をすぐに区別するには、
制服で区別するのは非常に有用だと考えられるからです。

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┃請負社員は、発注会社の食堂を使ってはいけない?
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厳密な話をすれば、発注会社の福利厚生制度は、発注会社の社員のための制度であり、
労働条件の一部であると考えられます。

そうであれば、発注会社の社員ではない、請負社員が発注会社の労働条件の一部である
福利厚生設備を使用するのは、おかしいと言うことになります。

これについては、厚生労働省の見解はこうです。

「別にそれくらいは、構わないよ」

具体的に言えば、請負社員と限らず、会社への訪問者等、
不特定多数の者が利用可能な施設を利用しても問題とはならないとしています。

また、請負社員が食堂やその他施設(トイレ・玄関等)を利用することは、
何ら契約書の中で明記せずとも問題がないとしています。

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┃問題の根本にあるモノ
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近年、請負・派遣に絡む労使紛争は激増しています。
そこには、請負や派遣で働く社員の不平不満があると思われます。

昔と比べ、請負・派遣で働く人の中にある不平不満が大きくなったのかもしれません。

社歴の長い会社では、請負会社の事を今でも「協力会社」と呼びます。
そして、以前は、忘年会や社員旅行のバスに、協力会社の面々が沢山見受けられました。

しかし、この「偽装請負の問題」がクローズアップされて、
発注会社は、請負社員を自らの仲間として処遇することを制約されてしまいます。

(実際に請負社員に話しかけることさえ、制限したということもあるようです)

実は、ここに問題の本質的な部分があるような気がしてなりません。
請負が適正か否かの判断は、表面的な事象ではなく、「実態」で判断されます。

請負社員との間に、労使関係はないとしても、仲間であることには代わりはありません。

仲間を心ならずも「仲間はずれ」にしないためにも、
風評等に惑わされることなく、正しい法的な知識を知っておく必要があると考えます。

次号以降でも、もう少し考えていきたいなと思います。

 

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◎今回は引き続き、川相商事の活動の一部(Vol.2)をご紹介します。

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