Vol.129【不況また良し】

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  川相いい仕事マガジン vol.129
   発 行:川相商事株式会社
   Kawai Syouji Group
   『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 http://www.e4510.jp/
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   川相マガジン   e4510情報 (いい仕事情報)
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特に3月以降、
日本では新型コロナウイルスの感染者の増加が続いています。

2月までは国内外で広まっている感染状況をTVで見ても、
どこか他人事のように感じていたところがありましたが、

3月に入って、住居地域、勤務地域でも感染者の人数が発表されると、
もう他人事ではないと強く感じました。

幸い当社は、早い段階から、予防対策などはおこなっていた事もあり、
慌てる事はありませんでした。

仕事も一緒で、準備、悲観的対策などをおこなっていると、
気持ちにゆとりができます。

冷静な判断、行動はどのような状況でも必要になります。

当社がおこなっている人材育成は、テクニカルだけでなく、
ヒューマンスキル、ロジカルシンキングなどにも力を入れています。

他社にはない人材育成システムが当社にはあります。
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  「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
  労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
  社労士、日比野の現場紹介—☆★☆
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   不況また良し
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今から10年ほど前、私が社労士事務所を開業して10年ほど経った頃、
サブプライムローン危機が起こりました。

昨日まで、当たり前にあった仕事がなくなり、売り上げが半分、
いや、10分の1になった会社がありました。

その際、ある顧問先の社長とのやりとりをご紹介したいと思います。

同社は創業60年を超える金属加工業で、大手重機製造メーカーの
一次下請けをしている社員数50名超の中小企業でした。

同社は、少量多品種短納期を武器にしてい流会社でした。

社長は2代目でしたが、今でも1日に1時間は必ず現場に入る
たたき上げの経営者です。

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┃「引っ張れるだけ助成金を」
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サブプライム危機が日本企業に影響を及ぼし始めてすぐ、前出の社長から、
会社に来てほしいと電話がありました。

月に1度の定例訪問でなされる会話はたわいもない世間話が
ほとんどでした。

社長から直接電話がかかって来ることも稀で、
すぐに来てほしいというのは、初めてのことでした。

私が応接室に入るなり、社長はこう言いました。

「売上が3分の1以下になりました。内部留保が少しはあります。
 この売上が半年続いたとしても、誰も解雇せずに済みます。
 でもそれ以上は難しい。日比野さん、できる限り助成金を
引っ張ってください。
 この先1年は、何としても雇用も給与も維持します」

そして、すぐ全社員に週3日の休業を指示し、
全社員にこのように話しました、

「常日頃から、みんなが頑張ってくれたおかげ、
 会社には蓄えがあります。仕事がなくなっても、
 当分の間は、皆さんの雇用を維持することができます。
 この機会に力を蓄えましょう」

その決断の早さ、迷いのなさに、
何らコメントもできませんでした。

まだ、何か仕事も何かありそうなのに、
もう休みにしちゃうんだと思いました。

そんな私の心を見透かして、言われました

「不況になって、やったらアカンことがあるんです。
 仕事が少なくなったからといって、
 1時間でやれる仕事を2時間かけてやったらアカンのです。
 1人でできる仕事を2人でやったら絶対アカンのです」

まだ得心がいかぬ私に、

「それをやったら、まず、怪我をする奴が出て来ます。
 それから、1度ゆっくり走ることを覚えたら、
 今度、また速く走ることはできないんです」

そうして、可能な限り休業を計画し、休業日には研修を実施していった。

その助成金は中小企業緊急雇用安定助成金で、
今の雇用調整助成金でした。

社員を休業させ、企業が休業手当を支払えば、休業手当の一部を助成して
くれ、その日の研修を実施したら、金額の上乗せがあるというものでした。

制度の立て付けは、雇用調整助成金とほぼ同じです。
そして、出来うる限りの助成金を申請しました。

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┃休業、研修
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研修と言ったって、そんなにやるべきことがあるわけではありません。

ましてや、助成金の対象となる研修とは、
通常の業務に付随する研修はダメで、職種転換等をすれば、

雇用の維持ができる場合などに必要な研修であれば
助成の対象となるということでした。

そこで、無口に物作りに励む職人が、営業マンになれるようにと、
コミュニケーション系の研修を進めていきました。

社員の人の中には、喋るのが嫌いだから、
こういう仕事を選んだのだという人もたくさんいました。

この社員に向け、コーチングやらプレゼンみたいな研修を
していくわけです。

ある幹部の社員は怪訝そうに聞いて来られました、
「製造業でこんな研修をするところはあるんですか?」

で、研修の様子はどうだったか?

漫画みたいな風景がいたるところで、
みられました。

アクティビティでは、お地蔵さんみたいに固まる社員、
仁王像のような表情で睨みつけるベテラン社員、

茶髪の若手がグループで話す様子は、
暴走族がたむろしているようにも見えました。

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┃不況また良し
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一人の解雇者も出すことなく、数ヶ月がすぎて行きました。
同業他社の解雇をした話、事業を畳んだ話も聞こえて来ました。

自分たちの選択が正しいのか?甘すぎはしないか?
今、何か行動を起こした方が良いのではないか?

そんな思いが頭をよぎりました。

山の中で、嵐に遭遇し、
暗い洞窟に逃げ込んだような感じでした。

外から轟々と音が聞こえて来るが、
外の様子はわからない。

このままじっとしていて良いのか?
それとも、外へ飛び出して良いかのか?

そうこうするうち、発注が戻って来ました。
しかも、嵐の前よりもたくさんの注文がきました。

同業他社が倒産したり、社員数が減り、生産性が落ちているので、
その分まで注文が回ってきたのです。

休業中の研修で、大小はあれ、
みなスキルも上がっていました。

そして、翌年、同社は過去最高収益を記録します。
同業他社から優秀な職人も移ってきたりしました。

それまで社長の下に部長が二人いるだけで、管理職やリーダーは
いませんでしたが、6人の若手班長が生まれていました。

不況を経て、会社の力も、収益も向上していました。

社長室の掲げられた標語の中に、
「不況また良し」のことばがありました。

先代の経営者が掲げた松下幸之助の言葉です。

コロナウィルスの嵐がまだ続くのでしょうか?

世界に存在する100年を超える企業の80%以上が日本企業だと、
言われます。

100年企業は、第2次世界大戦も、大地震も、オイルショックも
みんな乗り越えてきました。

100年企業は利益を上げるのがうまい会社なのではなく、
利益がなくなっても潰れない仕組みを持っています。

さあ、日本企業の力の見せ所です。

私ごとですが、この3月23日に日本法令から、
100年企業の潰れない仕組みを紹介した、
DVD「100年企業の就業規則」が発売になりました。

https://www.horei.co.jp/iec/products/view/2023.html
もしよろしければご覧くださいませ。
 

  労務管理事務所 フォージョウハーフ
  労務コンサルタント 日比野
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 「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
  労務管理事務所フォージョウハーフ
  【社会保険労務士】日比野大輔
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