Vol.115【改正迫る年次有給休暇】

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  川相いい仕事マガジン vol.115
   発 行:川相商事株式会社
   Kawai Syouji Group
   『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 http://www.e4510.jp/
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   川相マガジン   e4510情報 (いい仕事情報)
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当社では現場力向上の取り組みの一つとして、
毎年、自職場改善活動を行っています。

自職場改善活動は製造、物流の請負現場で働く
社員だけではなく、間接業務の社員も含め、
全職種の社員が対象です。

年始には改善活動の成果発表と表彰がありました。
改善活動の成果は毎年レベルが上がっています。

今後も引き続き現場力の向上を目指してまいります。

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  「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
  労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
  社労士、日比野の現場紹介—☆★☆
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    改正迫る年次有給休暇
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いつもメルマガをご愛読いただき、
どうもありがとうございます。

労務管理事務所フォージョウハーフで
コンサルティングをしています井上と申します。

さて、今回のメールマガジンでは、
前回に引き続き【年次有給休暇】について取り上げてみようと思います。

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┃年次有給休暇とは
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普段、年休や有給と省略されて呼ばれることが多いですが、
知っているようで実はよく分からないというご質問をよくいただくのが、
この年次有給休暇という制度です。

年次有給休暇というのは、
いわゆる賃金は発生するが労働義務のない日のことを言います。

会社を休むけど、欠勤にはならず、その日の給与がもらえると、
感覚的に捉えられている方も多いかもしれません。

この年次有給休暇は、細かい基準もありますが、
働き始めてから6ヶ月が経った時点で、
働くと決まっていた日のうち、80%以上働いていた場合に発生します。

発生する日数は、1週間のうち働いている時間や、
働いている日数によって変わってきますが、

1週間のうち働いている時間が30時間以上の方であれば、
最初の6ヶ月の時点で10日が発生します。

その後は、1年ごとに新たな年次有給休暇が発生し、
2年分までストックされます。

30時間未満の方も、1週間の勤務日数に応じて、
年次有給休暇が発生します。

この年次有給休暇は、原則として、取得を希望する従業員自身が、
取得する日にちを決めることができます。

これを、労働基準法上【時季指定権】と言います。
指定された時季に休まれるとどうしても事業が回らない。

なんとか代替要員の配置を試みたけれど、
その日はどうしてもできない。という場合は、

会社側がその時季を変更する【時季変更権】というものがあります。
しかし、この【時季変更権】はなかなか認められないのが一般的です。

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┃法改正で年次有給休暇はどう変わる?
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突然ですが、日本の年次有給休暇の取得率は
何%くらいだと思われますか。

厚生労働省の「平成29年 就労条件総合調査」によれば、
日本の取得率は49.4%(2016年)で、
西欧諸国と比較して少ないという結果が出ています。

さらに、内閣府の「仕事と生活の調和レポート2017第3章」では、
年次有給休暇が取りにくい理由で最も多いのは、
〔みんなに迷惑がかかるから〕となっております。

日本人の労働観や、ムラ意識、そして権利主張が肌に合わない文化が、
反映されている結果だと思います。

みんなで稼いで、みんなで分けるという感覚は、
共働体にとって必要な考え方かもしれませんが、

しかし一方で、どうしても休暇が必要な時でさえ
言い出しにくい環境になっているという側面もあるかもしれません。

このような状況を鑑み、政府は今年の4月1日より、
先ほど説明させていただいた【時季指定権】を、
従業員だけでなく、企業にも義務として発生させることとしました。

新たに10日以上の年次有給休暇が発生する従業員に対して、
そのうちの5日については、有給が発生した日から1年の間に、
それぞれ会社側が時季を指定して与えなければならなくなります。

つまり、1年間で5日以上の有給取得がない従業員に対して、
会社側が〇日に有給を取りなさい、と言わなければならなくなるのです。

また、様式は自由ですが、
従業員ごとの年次有給休暇の取得状況が分かる帳簿を
用意する必要があります。

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┃他社事例で見る年次有給休暇
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年次有給休暇の取得が義務になりました。といきなり言われても、
ただでさえ、人手も不足しているし、業務が回らないようになるよ。

もちろんみんなが取得できるように、できることはしたいけれど、
どうしたものか。。と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

そこで、年次有給休暇を上手く会社に取り入れている会社様を、
前回のメールマガジンと重複する箇所もありますが、
いくつかご紹介させていただこうと思います。

〔通販企業 大阪府〕
こちらでは、年次有給休暇の取得をノルマとしています。
いわゆる【ノルマ有給】というものです。

人員が欠けても業務が回る仕組みの構築、
そして、いつそのような状態になっても

業務が滞らないようにするための練習と考えて、
休暇を取れるような段取りの練習の機会としています。

年次有給休暇を訓練の一環として捉えて、
業務フローの改善や普段の社内共有方法の見直しに役立てています。

ノルマ有給なので、取得できなかった場合には評価が
落ちるというところもポイントです。

〔企画製造販売業 大阪府〕
こちらでは、勤務日から5年経過後に、
5連休を取得する制度を取り入れています。

従業員全員の共通認識があるため、
取得しやすい風土になっています。

また、あらかじめ5連休取得時の社内分担の
計画を立てやすくなっています。

〔製造業 大阪府〕
こちらでは、従業員自身の誕生日を有給休暇取得日としています。
休日と重なった場合は次の出社日を有給休暇取得日としています。

公平感や充実感、満足度の高い有給休暇取得となりやすいと評判です。

また、近いものとして、従業員本人だけでなく、親や子供の誕生日、
結婚記念日などを有給休暇取得日と定められている会社様もあります。

〔コンサルティング企業 大阪府〕
こちらでは、従業員全員が見やすい箇所に大きな年間カレンダーを貼り、
各々の従業員が、有給休暇取得希望日にシールを貼ります。

年間の取得日数が一目で分かるようになっていることにより、
声掛けが発生しやすくなることや、
業務の代替準備をしやすくなるという利点があります。

いくつかの事業所における取り組みを
ご紹介させていただきました。

有給休暇取得を前向きに捉えることから
始めてみるのもいいかもしれません。

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┃年次有給休暇は取るものではなく分けるもの
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年次有給休暇の取得申請は、経営者(会社)と自分との間で、
〇月〇日に取得します。

というように、いわゆる縦の関係で決まることが
多いのかもしれません。

このような取得申請は、ともすれば自分本位になりがちで、
横の関係(他のスタッフ)や状況が見えにくくなる恐れがあります。

日本において、有給休暇の取得が進まない理由として挙げられていた、
〔みんなに迷惑がかかるから〕というのは、周りのスタッフの仕事や、

自分が休んだ場合に、自分の仕事がどのように分担されるのか、
ということが、見えていないのが原因かもしれません。

経営者(会社)と自分との間で、
有給休暇の取得申請をするのではなく、

従業員全員でカレンダーを囲んで、
相談しながら皆が有給休暇を取れるように、
横の関係で取得日を決めていくことが大事だと考えます。

そうすることによって、例えば、
この日に有給休暇を取りたいです。〇〇さんにはこういう仕事で、

負担をかけてしまうかもしれません。なので、〇〇さんが取得する日には、
私が出来る限り〇〇さんの仕事の対応をしますね。

と言う風に、周りに気遣いながら、
気持ちよく有給休暇を取得することができるようになるかもしれません。

年次有給休暇の取得義務化が近づいてきました。
これを機会に、御社の年次有給休暇に対する考え方を、
いまいちど見つめてみるのはいかがでしょうか。

 

  労務管理事務所 フォージョウハーフ
  労務コンサルタント 井上
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 「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
  労務管理事務所フォージョウハーフ
  【社会保険労務士】日比野大輔
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