実務編 Vol.12【日雇派遣の禁止】

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  平成24年10月30日 

 川相いい仕事マガジン 実務編 Vol.12
    発行:川相商事株式会社 『働く喜びを感じるヒト』創造企業
                        担当:中島 政孝

 ◆ テーマ : 改正派遣法に関する情報提供
   
    ★ 日雇派遣の禁止 ★
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いつもお世話になっております。
川相商事 大阪本社所属の 中島 政孝 です。

いよいよ来週7日は、定期健康診断。 毎年、この日に向けて私を含む数人のメタボ社員が昼食
を抜く等、それはそれは涙ぐましい努力をする恒例の季節です。

そんなことよりも、最近は、うっかり うたた寝してしまうと風邪をひいてしまうほど、
寒くなってきましたので、ご用心下さいませ。

さて、今号は、初刊vol.1でご紹介した「改正派遣法のポイント」の(9)についてです。
(「改正派遣法のポイント」は下部に掲載しています)

【日雇派遣の禁止】

最もお問い合わせが多かった「日雇派遣」について、実際の改正内容と、
厚かましくも 私(または派遣会社)の意見も語らせて頂きながらご案内して参ります。

さて、実際の改正内容は次の通りです。

1)日雇派遣の原則禁止

   日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者(日雇労働者)について、労働者派遣を禁止

2)原則禁止の例外(労働者がいずれかに該当する場合)

   ・日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務

     →次の業務が該当します

     ソフトウェア開発、機械設計、事務用機器操作、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリング、調査、
     財務処理、取引文書作成、デモンストレーション、添乗、受付・案内(駐車場管理は含まない)、
     研究開発、事業の実施体制の企画・立案、書籍等の制作・編集、広告デザイン、
     OAインストラクション、セールスエンジニアの営業・金融商品の営業

   ・雇用機会の確保が特に困難な労働者等を派遣する場合
   
     →次の労働者が該当します

     a.60歳以上の者
     b.雇用保険の適用を受けない学生(いわゆる昼間学生)
     c.生業収入が500万円以上の者(副業)
     d.生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する者であり、世帯収入の額が500万円以上
       (主たる生計者以外の者)

というものが、本改正内容です。

さて、この法改正に至った問題として、厚労省は、「あまりにも短期の雇用・就業形態で、
派遣元・派遣先双方で必要な雇用管理責任が果たされていない。」からとしています。

つまり、雇用管理責任が果たされていないから、違法派遣をする会社への
取り締まりを強化するというものです。

しかし、この取り締まりによって、何らかの事情で日雇派遣に従事する労働者達にとっては、
大変深刻な問題になる

はずです。人によっては、仕事を失い、生活そのものが行き詰まり、
失業給付や生活保護等の選択肢を選ばざるをえなくなる可能性もあるのではないでしょうか。

各方面で財政難に陥っている日本にとって、これがベターな選択だったのか、
日々、疑問に思う所です。。。

そして何よりも、「労働者の保護」を目的に改正されたはずが、会社や制度に対する規制で、
労働者の働き方や働く職場を喪失させてしまいはしないか、日本企業の海外展開が急速に進み、
空洞化を助長しやしないか。。。

この日雇派遣の規制は、むしろマイナス要素の方が大きいのではないかと感じるのは
私だけでしょうか ( ̄~ ̄)ξ

最後に、年収が500万円以上ある人(生計を一にする人)なら日雇派遣に従事してOK・・・!?

失礼ながら、失笑してしまいました。

・・・もちろん、全てではありませんが、年収500万円ないから家計を支える為に働いているんです。 

500万円あれば、わざわざ副業で日雇派遣に従事することも、
家族に働いてもらうこともありませんよっ!!
後半、毒舌で申し訳ありません m(_ _)m

解決の糸口を見いだせないまま右往左往してしまいがちですが、
改正法は10月から施行されています。

不適切な対応をとってしまうと、派遣元はもとより、派遣先様も社名等の公表につながり、
手痛いダメージを受けることにもなりかねません。 

ぜひ、今一度、取引中の派遣会社とも現状に違法性の有無、解決策について、
確認してみてはいかがでしょうか。
(もちろん、弊社へのお問い合わせも大歓迎です!!)
==【質問コーナー】==================================

質問:政令で定める17.5業務は、日雇派遣が可能と聞きましたが、0.5の業務とは何ですか?

答え:それは、「受付・案内関係」の業務のことです。ただし、駐車場管理については含まないと
    したため、1ではなく、その半分の0.5と表現しているわけです。
    尚、従来は政令26業務といった言い方をしていましたが、今回から新番号がつけられました。
    新番号は4条1号から18号の17.5業務と、5条1号から10号と9.5業務です。
    ちなみに、9.5業務の0.5業務とは、「受付・案内関係は含まない駐車場管理」の業務
    です。

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次号は、『 離職した労働者の派遣受入禁止 』についてです。

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■改正派遣法のポイント■

(1)派遣法の法律名、目的の改正 ・・・ 「派遣労働者の保護」、「雇用の安定」が明記
(2)派遣元事業主の欠格事由の追加 ・・・ 脱法行為をする派遣会社の排除
(3)専ら派遣の制限 ・・・ 関係会社(グループ会社)への派遣を8割に制限
(4)派遣料金のマージン率公開 ・・・ 派遣料金と賃金との差・マージン率を公開
(5)派遣労働者に派遣料金の公開 ・・・ 雇用時等に派遣料金を派遣労働者に公開
(6)無期雇用への転換推進 ・・・ 有期雇用から無期雇用への雇用条件改善
(7)均衡待遇の確保 ・・・ 同種業務従事者との賃金等の均衡待遇
(8)派遣労働者の福祉の増進 ・・・ 教育訓練等の機会確保
(9)日雇派遣の禁止 ・・・ 日々または30日以内の派遣の原則禁止
(10)離職した労働者の派遣受入禁止 ・・・ 1年以内に離職した従業員の派遣受入禁止
(11)労働契約申込みなし制度 ・・・ 抵触日違反等で労働契約の申込をしたとみなす
     ※(11)は改正法施行後、3年後に施行
(12)その他

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